私が経験した交通事故~事故の状況と示談に至るまでの経緯について
事故発生の状況・青信号の横断歩道で意に添わず空を飛ぶ
数年前の春先でした。
私は一日の勤務を終えて最寄り駅まで戻ったところで、徒歩で自宅への道に踏み出しました。今日は忙しかったから疲れたな。お腹すいた。明日仕事行ったらやっと休みか~。そんなことをとりとめなく考えていたので、木曜日だったのでしょう。あまり危機感もなくてくてく進み、ちょっと大きな交差点に差し掛かりました。片側2車線で中央に分離帯があり、横断歩道が長い上に駅に近く普段から交通量の多い場所です。歩道の際まで行ったあたりで折よく信号が青になりました。いいタイミングです。少し気分よく、足を停めないまま横断歩道に進み出ます。疑いもしませんでした。この時、信号だけを妄信するのではなく、周囲をきちんと自分の目で確認していれば結果は違っていたのかもしれません。
既に魔の一瞬は迫っていたのです。右折車が一台、中央分離帯あたりに差し掛かっていた私に気付かず、交差点に進入して来ていました。ろくにスピードも緩めていない車の走行音が近づくのに気付いて振り返った時には、右折車はもう目の前にいました。赤い車で、あまり大きくはないけれど軽でもないようでした。ドライバーと確かに目が合ったと思います。若い女性でした。目と口を大きく開き、顔を強張らせる彼女の手には携帯電話がありました。『あっと思った時にはもう遅い』。心底本当でした。次の瞬間、まともに正面からぶつかりました。ですが、実はこの時の衝撃を私は覚えていません。頭が真っ白になっていて感じる余裕がなかったのか、それとも瞬間的に記憶が飛んだのか。痛みを自覚したのは数m弾き飛ばされてアスファルトの上にうつ伏せに投げ出され、数秒が経ってからのことでした。主に体の右側からじんじんと湧き上がるように感じるそれは、でもまだ耐えられないと思うほどの痛みには至っていません。私は駆け寄って来る人々の足をぼんやり見ながら、手をついて自力で起き上がろうとしたのです。その瞬間、激痛に襲われて全身が硬直しました。もう声も出ません。首元が痛くて痛くて、頭がくらくらするほどでした。しっかり、救急車を呼んだから、声をかけてくれる人に応えることもできません。転がったままの姿勢を直され、そっとしてもらったし、そもそも助けてもらったのに申し訳ないことですが痛くて涙が噴き出ました。
混乱したまま冷たいアスファルトの上で待つ救急車は、ひどく遅く感じられました。実際、帰宅時の交通混雑に巻き込まれて少し通常よりも遅くなったようです。ともあれ、パトカーとほぼ同時にやって来た救急車に乗せられ病院へ。中で血圧を測られ、あまりに数値が高いので驚いた、なんて変なことを覚えています。
まな板の上の鯉状態で診察に検査に検査に検査。診断の結果は右鎖骨の骨折に右膝の脱臼、肩には裂傷がある他あちこちに打撲と擦過傷を負い、全治二か月ということになりました。小さな怪我には湿布や絆創膏が貼られ、包帯まみれ。自分では右鎖骨のあたりばかり痛いと感じていたので、そんなにあちこち怪我をしているとは思いませんでした。人が瞬間的に感じる痛みは一か所なのだという話を聞いたことがありますが、本当なんだなと我が身で確認してしまった格好です。
とりあえずの手当が終わると警察の聴取があり、それからしばらくの入院生活がスタートしました。おいおい家族が駆けつけてくれたのですが、説明してくれたお医者さんに『右側を下に路面に落ちたからの怪我だけど、頭を打たなかったのは幸いだった。まあ事故の状況の割には軽く済んだ方だ』というようなことを言われた時は本当かなと大いに疑ってしまいました。不幸中の幸いはあったのだと慰めてもらったのかもしれません。あとからお見舞いに来てくれた友人にこの辺の話をして、冷静と言うより変に呑気だと怒られました…。
その後、示談成立まで・渡る世間は事情ばかりが先に立つ
さて、あちこち痛い上にギプスやら包帯やらで動きを制限され、退屈を紛らわせる方法も限られた生活はなかなかにつらいものでした。お見舞いに来てくれる人もそう毎日ではありませんし、こういう時ばかりは自分が携帯がなかったら死んでしまうタイプのヘビーユーザーだったらよかったのかもなどとくだらないことを考えます。日を追って細かい怪我が治って行くと、気持ちに余裕が出始めた分だけ退屈は余計に増すばかりでした。色々と考え始めます。やはり何と言っても、今後のことが気になって仕方ありません。仕事の方は大丈夫かな。社畜か。入院費用とかどれくらいになるんだろう。加害者の人ちゃんと出してくれるかな、保険入ってないとか言われたら揉めるらしいよね?責任割合?とかどうなるんだろ、私も悪いって言われるの?なんか争うことになったらどうしよう。勝てるような気はするよ、私歩行者だし青信号だったし。大丈夫だよね?勝てるよね?つっこみとか疑問とかも交えてぐるぐる考えます。加害者の女性が、事故直後にたった一度だけお見舞いに来たきりだったのも不安に拍車をかけていました。彼女は親御さんに連れられ、すみませんでしたと頭を下げた他は終始無言でした。
二週間ばかり経っていたでしょうか。ある日、病室に来てくれた母が中年手前くらいの女性を伴っていました。保険屋さんだと言われ、とりあえずあの女性は自動車保険をかけていたのだと少し安心しました。
が。
この保険屋さんが、辣腕と言うのか…事故の状況を再度聞きたいと言って話すことになったところ、細かい上にも細かいところまで突っ込む突っ込むで、意識していなかったり覚えていなかったりする部分もある私はしどろもどろになりそうでした。特に、信号は本当に青だったのか何度も聞かれ、終いには色覚異常を疑うようなことを言いだすのです。色覚は正常だし、警察の人にも言った通り信号は確かに青だったと言い切ると引き下がってくれましたが、今後はこの人と示談交渉するのかなとげんなりしました。まあ予感通り、楽~にすんなり、とはいかなかったわけですが。
一度では済まず、何度か交渉が持たれました。そもそも利害が対立する同士の話し合いなのですから、それが当然なのでしょう。あちらは少しでも安く上げたいし、こちらは無理を言うつもりはなくても最低限の補償は欲しいのです。治療に自分の社会保険を使ってくれ、慰謝料はあまり出せない、加害女性は落ち込んでいる、彼女にも将来があるのだから。並べ立てられ、慰謝料はともかく他には完全に納得はできません。落ち込む気持ちはわかるけれど、せめてもう少しきちんとお見舞いに来て誠意を見せてくれたらいいのにとも思うのです。将来ならこの子にだってある、その近い一部分を加害女性によって中断させられたのだ。そもそも別に致死事故でもあるまいし大げさなことを言わないでほしい。そう言ったのは大体同席してくれていた母でした。自分も成年ではあったので少し情けない気もしますが、母は強しと頼りに思った瞬間です。保険屋さんは苦い顔をして、それから少し舌鋒が弱くなりました。
結局、治療費と入院費、退院してから快癒までの通院費用の全額、勤務補償のほかに慰謝料が100万円ということで示談になりました。書類を交わす場には被害女性も来て、今度はきちんと挨拶と改めての謝罪をしてくれました。悪い人ではなくて、確かに落ち込んだり混乱してたりしていたのだろうと思えたので、私も責めることはしませんでした。痛くて退屈で嫌な思いなどもしましたし、今でもあれもいい経験だったなどとは言えませんが、あちらも悪気があったわけでもなく結果としてはこんなところだろうと穏やかな気持ちでいます。
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